経営厳しい「有床診療所」

 

 今回火事が起きた医院は、規模の小さい入院施設がある「有床診療所」と呼ばれる医療機関です。

  有床診療所は経営が厳しいところが多く、厚生労働省によりますと、この20年余りで全国で6割も減っています。

  経営する医師の中からは費用のかかる防火対策をする余裕がないという声が上がっています。

  福岡市中央区にあるベッド数が19床の整形外科も有床診療所にあたるため、患者が入院した際に受け取れる1日当たりの診療報酬は、看護態勢の整った病院に比べ半分程度になっています。

  さらに入院が30日を超えると診療報酬は60%にまで減ってしまいますが、80代の患者が多く、治療後もリハビリや安静が必要で、自宅に戻れなかったり介護施設が満員で入れなかったりするということです。

  このため入院期間は平均で2か月になり、なかには1年以上、入院している人もいるということです。

  入院が長期になるほど採算は合わず、こうした状況で、当直の人数を増やしたりスプリンクラーを備えたりする費用のかかる防火対策は難しいと言います。