農作物などに深刻な被害をもたらしている

  農作物などに深刻な被害をもたらしているニホンジカが12年後までに現在のおよそ2倍の500万頭まで増えるという試算がまとまり、環境省は捕獲対策の強化を検討することにしています。

  環境省などによりますと、ニホンジカによる農作物の被害は年々増加し、平成23年度の被害額は全国で83億円に上ったほか、樹木や高山植物を食い荒らすなど生態系への影響も指摘されています。

  7日、環境省の専門家の委員会が東京で開かれ、捕獲された頭数などを基に環境省が行ったニホンジカの生息数の試算が初めて公表されました。

  それによりますと、独自に生息数を推計している北海道を除き、平成23年度には全国で261万頭のニホンジカが生息していると推計され、現在のペースで捕獲し続けても平成37年度までに現在のおよそ2倍の500万頭まで増え、農作物などの被害がさらに広がるおそれがあるということです。

  これについて、委員からは現在はニホンジカの捕獲対策を個人の狩猟者に頼っているとして「捕獲専門の事業者を行政が認定する制度を設けるなど捕獲する人を増やすべきだ」という意見が出ていました。

  委員会では年内をめどに提言をまとめることにしていて、環境省はニホンジカの捕獲を規制している鳥獣保護法の改正も視野に、捕獲対策の強化を検討することにしています。